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コラム

クリニック開業における融資の流れは?融資団体や注意点についても解説

目次

クリニックの開業には多額の資金が必要となり、多くの場合は外部からの融資を活用するのが一般的です。しかし融資制度や条件は多岐にわたり、手続きの流れやスケジュール管理も複雑です。

本記事では、開業準備から融資実行の流れや主要な融資団体の特徴を解説します。クリニック開業の資金調達に悩んでいる方は、参考にしてみてください。

クリニック開業で利用できる融資

クリニック開業時には、複数の融資制度を選択または組み合わせて利用できます。

融資種別  

金利  

限度額  

特徴 

日本政策金融公庫 

低金利、返済最長20年 

設備資金7,200万円、運転資金4,800万円

無担保・無保証で創業者にも利用しやすい。
女性・若手・高齢医師は優遇金利有

民間金融機関

金融機関による 

融資機関による  

条件が柔軟で審査が速い傾向にある

医師会・地方自治体 

優遇あり 

制度や地域による

医師会加入が必須。地域に応じた優遇やサポートを受けられる 

福祉医療機構(WAM) 

低金利、返済最長20年 

無床診療所最大3億円、設備追加等あり 

医療福祉施設専用の政府系貸付。
建物・機器・リース料に幅広く対応できる  

各団体によって融資の諸条件が異なるため、自身の開業計画、スケジュールや希望条件を踏まえ、複数の融資団体を比較検討することが選択のコツです。

クリニック開業の融資の流れ


融資準備から実行・開業までには、一般的に6〜7ヶ月の期間を要します。以下のスケジュールを目安に、余裕を持って準備を進めていきましょう。

開業までの期間
融資手続き・準備
6~7ヶ月前①事業計画書を作成する
・税理士と契約
・医療機器の見積もり取得
5〜7ヶ月前②融資相談と物件探しを並行して進める
・複数の銀行に融資可能性を打診
・物件候補の絞り込み
・内装工事の平面レイアウト・見積もりを依頼
5〜6ヶ月前③物件を決定する(融資条件付き)
・家主と条件交渉
・仮押さえ(融資承認を停止条件とする)
・内装工事の見積もり取得
5ヶ月前④融資審査を申し込む
・物件を前提とした事業計画書を提出
・物件情報も銀行に提示
4〜5ヶ月前⑤融資審査を受ける
・銀行による審査
・詳細設計や打ち合わせを並行して進める
3〜4ヶ月前⑥融資が実行される
・審査通過後、融資金が振り込まれる
3ヶ月前⑦物件の本契約・支払いを行う
・物件の正式契約
・初期費用・保証金等の支払い
3ヶ月前⑧着工金を支払い、工事に着手する
・内装会社へ着工金を支払い、内装工事スタート
1ヶ月前⑨内装の引き渡しを受けて、完工金の支払いをする
・消防検査・保健所検査の実施
・開設届の提出
1ヶ月前〜開業
⑩開業準備を行う
・医療機器の搬入・設置
・スタッフ教育の実施
・オペレーション確認
・内覧会の実施

ここでは、各ステップについて解説していきます。

1. 事業計画書を作成する

開業のビジョンや事業方針、将来的な見通し、資金計画・収支計画を具体的かつ根拠ある数字でまとめた事業計画書を作成します。医療機器の見積書もこの段階で取得し、事業計画書に添付します。

2. 融資相談と物件探しを並行して進める

事業計画書が完成したら、銀行への融資申請の相談を始めると同時に、開業するための物件探しも進めていきます。これは、家主は融資が確実でなければ物件を貸しにくく、一方で銀行側も具体的な物件が決まっていないと融資の審査を行えないためです。また、物件探しと並行して、内装工事の見積もり取得も進めておくようにしましょう。

3. 物件を決定する(融資条件付き)

物件候補が絞り込めたら、家主と条件交渉を行います。この際、融資が承認されなかった場合には契約を無条件で解除できるような「融資承認を条件とする仮契約」を締結しておくことがポイントです。

こうすることで、融資審査に通らなかった場合でもペナルティなく契約を取り消すことができ、家主側も融資の見込みを確認したうえで本契約へ進めるか判断できるため、双方にとって安心できる流れとなります。

4. 融資審査を申し込む

仮契約した物件の情報と事業計画書、自己資金証明や見積書など必要な書類を揃え、正式に銀行や政策金融公庫などへ融資申請を行います。申込時には求める融資額や返済希望条件も申告します。

5. 融資審査を受ける(1ヶ月以上)

銀行による審査には1ヶ月以上かかることを想定しておきましょう。不足があれば補足説明や再提出も要求されます。

この期間中も、ホームページ制作やスタッフの採用、医療機器選定、内装の詳細設計など、他の準備作業は並行して進行可能です。

6. 融資が実行される

審査に通過し、融資承認が得られると契約手続きが行われ、指定口座に資金が振り込まれます。この資金をもとに開業準備が本格化します。

7. 物件の本契約・支払いを行う(物件を借りる場合)

融資実行を受けて、物件の正式な契約と支払いを行います。仮押さえの段階から本契約に切り替わるタイミングです。

8. 着工金を支払い、工事に着手する

物件契約完了後、融資金から着工金を支払い、内装工事がスタートします。物件契約から着工までスムーズに進められるよう、事前に内装会社との打ち合わせを十分に行っておくことが大切です。

9. 内装の引き渡しを受けて、完工金の支払いをする

内装工事が完了したら、最終確認を行い引き渡しを受けます。その際、残金である完工金を内装会社へ支払います。

また、この段階では消防検査や保健所検査といった各種検査を受け、開業に必要な許可を取得します。厚生局への開設届の提出も行い、保険診療を行うための準備を整えます。

10. 開業準備を行う

内装の引き渡しを受け、各種検査・手続きが完了したら、開業に向けた最終準備に入ります。

医療機器の搬入・設置を行い、動作確認を済ませます。また、採用したスタッフへの教育を実施し、受付対応や診療補助、電子カルテの操作方法などを習得してもらいます。さらに、実際の診療を想定したオペレーション確認を行い、スムーズな開業初日を迎えられるよう準備を整えます。

開業前には地域住民や関係者を招いた内覧会を開催し、クリニックの設備や診療方針を紹介することで、地域への認知度を高め、開業後の集患につなげることができます。

クリニック開業時の融資の注意点


クリニック開業時に融資を申し込む際には、以下の点も理解しておきましょう。

融資審査のタイミングに余裕を持つ

クリニック開業における融資審査は、申請から実行まで最低でも1ヶ月以上を要すことが一般的で、場合によっては2ヶ月以上かかるケースもあります。工事の着工金支払いや開業日程に遅れが出ないよう、十分な余裕を持って申請の準備・手続きを進めることがポイントとなります。

また、審査期間中も内装設計や医療機器選定など他の準備作業は同時並行で進められますが、融資申請内容と大きく異なる変更は避け、承認後は計画通り着実に手続きを進めましょう。

自己資金の準備も検討する

金融機関の審査では自己資金の額や比率が重視され、一定の自己資金があると審査が通りやすく、有利な条件を引き出せる場合もあります。

また、開業後に想定外の支出や資金ショートを防ぐためにも、余裕を持った資金計画が不可欠です。特に開業直後は収入が不安定になりがちなため、運転資金として3〜6ヶ月分を自己資金で確保しておくことが、安定した経営につながります。

関連記事:クリニック開業資金はいくら必要?内訳や診療科別の資金傾向を紹介

まとめ

クリニック開業時は、融資準備から実行・開業までに約6〜7ヶ月の期間を要するため、余裕を持ったスケジュール管理が欠かせません。税理士などの専門家のサポートも受けながら、精度の高い事業計画書を作成し、計画的な準備を進めていきましょう。

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