クリニックの改装は、医療サービスの質を向上させるうえで重要な投資です。しかし、適切なタイミングや方法を誤ると、患者離れや予期せぬコスト増加につながる可能性があります。
本記事では、クリニック改装を検討すべきタイミングから具体的な注意点まで、失敗を避けるためのポイントを解説していきます。
クリニックの改装を検討すべきタイミング
はじめに、改装を検討すべき具体的なタイミングを見ていきましょう。
クリニックが老朽化したとき
開業から10年、20年と経過したクリニックでは、設備の老朽化が進行します。医療機器の性能低下だけでなく、空調設備の効率悪化、内装材の劣化、配管の不具合など、さまざまな問題が顕在化してくることに加え、清潔感が求められる医療施設において、ねんきの入った内装は患者様の信頼を損なう要因となりかねません。
また医療技術が発展するなかで、従来の設計のままでは最新の診療スタイルに十分対応できず、診療内容に制約がでてしまうこともあります。感染症対策を考慮した動線の確保や、プライバシーに配慮した診察室の配置など、多様なニーズに応じた改装を行うことで、質の高い医療サービスを継続して提供できる土台が整います。
第三者承継を行うとき
改装のきっかけとして多く挙げられるのが、第三者継承のタイミングです。長年クリニックを支えてきた高齢の院長から若い医師へとバトンが渡される際、既存の患者様の安心感を守りつつ、新しい診療方針を実現するために院内のリニューアルをすることがあります。
承継時の改装では、前院長の診療スタイルから新院長の方針へと円滑に移行できる環境づくりが大切です。単なる設備の入れ替えにとどまらず、時代や地域のニーズに合った医療サービスを提供できる空間設計が求められます。
ターゲット層の変更を行うとき
高齢者中心だった患者層を若い世代にも広げたい場合、内装デザインの見直しは非常に有効です。従来の診療科目はそのままに、クリニックの雰囲気を刷新することで、新しい患者層を呼び込むことができます。
この場合、ターゲットとする世代の好みや行動傾向を分析し、それに合わせた空間づくりを行うことが求められます。世代交代を見据えた計画的な改装は、クリニックの長期的な経営安定にも大きく貢献するでしょう。
クリニックを改装する際の注意点
クリニックの改装計画を立てる際には、以下の注意点に留意しましょう。
工事期間は可能な限り短く
クリニック改装における最大の懸念事項は、患者離れです。診療を休止する期間が長引けば、患者様は他の医療機関へ流れてしまい、改装後も戻ってこない可能性があります。そのため、工事期間の短縮は改装成功の必須条件といえるでしょう。
対策としては、1期工事、2期工事、3期工事というように段階的に改装を進める方法が一般的です。診療を継続しながら部分的に工事を行うことで、患者様への影響を最小限に抑えられます。工事を分けることのデメリットとしては、工事ごとに養生や片付けまでを行う必要があるため、費用が割高になる傾向があります。
また地方のクリニックでは、広い駐車場を活用して仮診療所を設置し、本館の改装中も診療を継続するケースもあります。
部分改装では根本的なレイアウト変更は困難
段階的な改装には、診療継続というメリットがある一方で、設計上の制約も生じます。全面的な改装と異なり、既存の構造やネットワーク配線関係を活かしながらの改修となるため、動線の大幅な変更や診察室の配置換えなど、根本的なレイアウト変更は実現困難です。
この場合、既存の構造やネットワーク配線関係を最大限に活用しつつ、患者動線の改善や待合室の快適性向上など、実現可能な範囲での改装計画を立てることが必要となります。内装会社に実際に現地を見てもらい、細かく打ち合わせをしていくことが部分改装成功の鍵となるでしょう。
第三者承継時は既存設備の調査から
第三者承継による改装では、既存設備の詳細な調査が必要です。10年、20年前に施工された配線や配管の状況は、図面が残っていない場合も多く、現地調査により初めて判明することもあります。元の施工会社と異なる業者が改装を担当する場合、既存設備の仕様や施工方法の違いが問題となることも少なくありません。
予期せぬ追加工事を避けるためにも、事前調査には十分な時間と予算を確保しましょう。
医療機器の移動と保管場所の確保も考慮する
医療機器を多く設置している診療科は、改装計画を慎重に立てることが求められます。診察室や検査室に設置された医療機器は、移動のためにメーカーの専門技術者を呼ばなければならないケースも多く、単純に移動させるだけでも大きな労力とコストが発生するためです。
また、改装期間中の医療機器の保管場所確保も課題です。段階的な改装を行う場合でも、医療機器の移動計画を事前に綿密に立て、診療への影響を最小限に抑える工夫が必要となるでしょう。
まとめ
クリニックの改装は、医療サービスの質向上と経営改善の両立を目指す重要な投資です。今回紹介したポイントを踏まえたうえで、専門業者と連携しながら計画的に進めることで、患者満足度の向上と安定した経営を実現できる改装が可能となるでしょう。
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