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コラム

クリニック開業の立地選びのポイント|エリア別・物件別のメリット・デメリットも解説

目次

クリニック開業において、立地選定は経営の成否を左右します。適切な立地を選ぶことで安定した集患が可能となり、長期的な経営基盤を築くことが可能です。

本記事では、開業を検討している医師の方に向けて、立地選定のポイントについて解説します。

クリニック開業における立地選びの重要性

クリニック経営において、立地は開業成功の8割を決定づけると言われています。どれほど優れた医療技術や設備を持っていても、立地選定を誤れば患者数の確保は困難です。

特に近年では、診療報酬の改定によって保険診療の点数が年々減少傾向にあり、以前は成立していた立地でも現在の診療報酬では採算が合わないケースが増加しています。このような環境下で、立地選定の重要性はさらに高まっているのが現状です。

開業後に立地の問題に気づいても、移転には莫大な費用と患者離れのリスクが伴います。初期の立地選定で失敗すると、経営不振から廃業に追い込まれるケースも少なくありません。

クリニックの立地選定時のポイント

クリニック開業の立地選定には、押さえるべきポイントが3つあります。これらのポイントを総合的に検討することで、開業後の安定経営につながる最適な立地を見つけることができるでしょう。

診療圏調査で競合と人口を把握する

診療圏調査とは、クリニックや医療機関を新たに開設する際に、その候補地で「どの範囲から」「どれくらいの患者数が見込めるか」を客観的に調べる市場調査です。具体的には、開業予定地から半径750メートル圏内の人口と競合クリニックを詳細に分析していきます。

診療圏調査で重要なのは、単に人口の多さだけでなく、居住人口を重視することです。大型施設があっても、そこを訪れる人々は必ずしもそのエリアの住人とは限りません。実際に住んでいる人の数と年齢構成、さらに同じ診療科目のクリニック数を把握することが必要です。

調査の結果、人口に対して競合クリニックが多すぎる場合は、そのエリアでの開業を見送る判断も必要となります。

患者様が通いやすい立地を選ぶ

アクセスの良さは集患力に直結する要素です。特に駅前立地は駅を利用する通勤・通学者だけでなく、バスなどの公共交通機関も集中するため、幅広い患者層を獲得できます。

また最近では、大型商業施設が医療フロアを設置する動きも活発化しています。買い物ついでに受診できる利便性は患者様にとって大きなメリットであり、商業施設側も集客の一環として積極的に誘致を進めている状況です。

このように患者様の通いやすさを最優先に考えた立地選定は、安定した集患の基盤となります。通勤経路上にある、買い物のついでに立ち寄れる、公共交通機関でアクセスしやすいなど、患者様の生活動線上に位置することで、継続的な通院につながり、クリニック経営の安定化に大きく貢献するでしょう。

診療科目の特性に合った場所を選定する

診療科目によって最適な立地条件は大きく異なります。クリニックにおいては、それぞれの特性を理解したうえで立地を選定することが不可欠です。

例えば精神科や心療内科は、患者様のプライバシーに配慮し、人目につきにくい上層階が適しています。産婦人科も同様にプライバシーへの配慮が求められ、1階の路面物件は避ける傾向があります。

一方、内科や小児科は目につきやすい1階やアクセスしやすい低層階が理想的です。美容クリニックなど自由診療中心の診療科目は高額な家賃でも採算が取れるケースがあるため、都心の一等地も候補地となります。

クリニックのエリア別メリット・デメリット

ここからは、都心・郊外それぞれのエリアが持つメリット・デメリットを紹介します。自身の診療方針や資金計画に合わせて立地を検討しましょう。

都心

都心でクリニックを開業するメリットは、潜在的な患者数が多いことです。医療モールやクリニックビルに入居すれば、他科との連携による患者紹介も期待でき、設備投資を抑えながら開業できます。

デメリットとしては、家賃や人件費が高額になることや、競合となるクリニックが多いことが挙げられます。診療報酬だけでは高額な固定費をカバーできないため、保険診療中心のクリニックでは坪単価2万円を超える物件での単独開業はかなり厳しいと考えましょう。

ただし、自由診療中心の美容クリニックや審美歯科であれば、都心の高い固定費も回収できる可能性があり、単独開業も選択肢に入ります。

都心でのクリニック開業を成功させるためには、集患に力を入れ、他院との差別化を図ることが不可欠です。詳しい集患方法については、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:クリニックの集患施策8選|具体的な方法や特徴について解説

郊外

郊外でクリニックを開業する最大のメリットは、土地価格が安く戸建てでの開業が可能なことです。

特に近年注目されているのが、ロードサイドのドラッグストアに併設する形での開業です。ドラッグストアの集客力と調剤薬局の存在により安定した患者数を確保でき、土地を所有するドラッグストア側も医療機関の誘致に積極的なため、初期投資を抑えられるメリットがあります。

郊外で開業するデメリットは、公共交通機関が不便な地域が多く、車を運転できない高齢者の受診が困難になる点です。また、都心と比較して人口密度が低いため、診療圏内の潜在患者数が限定される可能性もあります。

クリニックの物件別メリット・デメリット

クリニックの開業形態は、大きくテナント型と戸建て型に分類されます。ここでは両者のメリット・デメリットを比較しましょう。

テナント

テナント開業の最大のメリットは、初期投資を戸建て型に比べ抑えられることです。内装工事費、医療機器の導入費、物件契約に関わる費用(敷金・保証金・前家賃など)が主な初期費用となり、建物の建設費用はかかりません。

さらに、ビルや商業施設に入居することで、他のテナントとの相乗効果による集客も期待できます。医療モールであれば、他科との連携により患者様の紹介も受けやすくなるでしょう。

一方、診療時間や看板の制限、階数による患者層の偏りなど、自由度が低い面はテナント開業特有のデメリットです。例えばエレベーターのない2階以上の物件では高齢者やお子様連れの患者様の受診が困難になりますし、待合室が狭い場合は混雑時の患者対応に苦慮することもあるでしょう。

費用面においても、物件によっては保証金を12ヶ月分支払うケースもあり、想定以上に初期費用がかさむ場合もあります。契約前に物件の建物条件や設備状況と合わせて、契約条件も十分確認することが大切です。

戸建て

戸建て型クリニックの最大のメリットは、設計の自由度の高さです。診療科目に最適化した動線設計や、将来の拡張を見据えた建築が可能となります。

独立した建物のため、診療時間や休診日の設定も自由です。また看板や外観についても、地域の景観条例や建築協定の範囲内であれば、テナントと比較して自由度の高いデザインが可能となります。

一方で、土地購入費用と建築費用がかかることから初期コストは高めです。また、建物の維持管理はすべて自己責任となる点や、固定資産税などの維持費が継続的に発生する点もデメリットといえるでしょう。

まとめ

クリニック開業における立地選定は、開業の成否を左右します。今回紹介したポイントを踏まえて、適切な立地を選定しましょう。

ただし立地選定は専門的な知識と経験が必要です。不動産業者だけでなく、医療経営コンサルタントなど複数の専門家の意見を聞きながら、慎重に検討を進めることをおすすめします。

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