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コラム

クリニックの待合室を快適にする15のポイント|患者満足度を高める工夫を紹介

目次

クリニックの待合室は、患者様が最初に接する空間であり、クリニック全体の印象を大きく左右します。待ち時間のストレスを軽減し、不安を感じない環境を整えること、つまり患者様の満足度を高めることは、クリニック経営において最も重要な要素です。

この記事では、クリニックの待合室を快適にするポイントを詳しく解説します。

クリニックの待合室を快適にする15のポイント

快適な待合室づくりには、様々な角度からの工夫が必要です。ここでは具体的な15のポイントを紹介します。

1. バリアフリー設計を徹底する

クリニックの設計において、バリアフリーは福祉のまちづくり条例(またはそれに類する名称の条例)で定められた必須要件です。各都道府県や政令指定都市で定められている条例を確認し、それに準拠した設計を行うことが大前提となります。

具体的には、入口から受付、待合スペースまでの動線に段差をなくすことが基本です。やむを得ずスロープを設ける場合は、勾配を定められた基準に抑える必要がありますが、基本的にはスロープを設けない段差のない設計を目指します。

院内においても条例に準拠した設計を行い、車椅子利用者が無理なく移動できる環境を整えることで、すべての患者様が安心して利用できるクリニックとなります。

参考:東京都福祉のまちづくり条例について(全体の流れなど)|東京都福祉のまちづくり条例|東京都福祉局

2. 患者同士の視線が合わないようレイアウトする

待合室では、患者同士の視線が合わないような工夫が重要です。最近では、コンセント付きのカウンター席を設け、患者様が壁を向いて過ごすような設計も増えています。

また、受付スタッフと患者様の視線についても配慮が必要です。受付スタッフからは患者様の様子を確認できる必要があるものの、患者様からは受付スタッフと直接目が合いにくいような角度や配置にすることで、待ち時間に対するクレーム防止やスタッフの業務効率の向上につながります。

参考事例:自由が丘ミュゼルレディースクリニック

3. 十分なスペースを確保する

待合室の中でも、受付周辺は受付をする患者様、支払いをする患者様、診察室へ向かう患者様など、複数の動線が交差する場所です。十分なスペースを確保し、混雑や不便が生じないよう配慮しましょう。

通路幅は条例で定められた基準を守りつつ、ピーク時の患者数を想定して余裕を持った設計を行います。通路の幅は、特例はありますが、多くの場合 90cm以上 と定められています。

4. 清掃しやすく耐久性のある椅子やソファを選ぶ

待合室の椅子やソファは、清掃のしやすさを重視した素材選びが重要です。多くの患者様が利用するクリニックでは、汚れにくく、清掃しやすい素材を選ぶことで、常に清潔な環境を維持できます。また、抗菌仕様の素材を選ぶことで、清掃の頻度を減らすことも可能です。


待合室はクリニックのイメージを最も表現できる空間であるため、デザイン性のみを重視する設計事務所ではファブリック素材の生地が選ばれることもあります。しかし、ファブリック素材は耐久性やメンテナンス性に課題があり、開業後に摩耗や汚れが目立ちやすく、長期間の使用が難しいケースも少なくありません。

そのため、デザイン性と実用性のバランスを考慮し、耐久性やメンテナンス性に優れた素材を選ぶことが大切です。

5. 症状に応じて待合エリアを分ける

特に小児科や内科では、感染症の拡大防止のため、通常の待合室とは別に感染隔離室を設置することも重要です。

理想的な配置は入口からすぐの場所で、一般の患者様と接触することなく、直接感染隔離室に入れる動線を確保しましょう。医師が感染隔離室まで出向いて診察を行い、会計も同室で済ませることで、患者様は一般の待合室を通ることなく帰宅できます。

感染隔離室はクリニックの設計段階から組み込んで計画することで、感染症の患者様とワクチン接種などで受診する健康な患者様を分離し、相互の感染リスクを最小限に抑えることができます。

6. コンセプトに合わせて家具・装飾品を選ぶ

待合室は、クリニックのコンセプトを表現する場所です。クリニックのコンセプトや診療方針に合わせた空間デザインを設定し、それに合わせて家具や装飾品を選定しましょう。

待合室は、クリニックの中でも最も内装にこだわれる場所でもあります。診察室や処置室は機能性が優先されますが、待合室は患者様の印象に大きく影響するため、適切な投資をすることでクリニック全体のイメージを訴求し、集患につながります。

参考事例:こころの港クリニック

7. 待合室と診察室で照明の色温度を変える

待合室では、緊張感を和らげるよう、温かみのある電球色の照明を使用することが効果的です。一方、診察室では正確な診察のために白を基調とした照明(昼白色など)が適しているため、場所によって照明の色温度を変えることが重要となります。


▲待合室


▲診察室

参考事例:おぎくぼ小児科

8. 適切な室温を維持する

クリニックにおける温度管理では、部屋によって室温のばらつきがない状態を目指します。そのためには単に空調機器を設置するだけでなく、吹き出し口の位置や空調システムの選定など、設計段階から総合的な空調計画が必要です。

特に1階の路面店舗は外気の影響を受けやすいため、風除室の設置が重要です。風除室があることで、扉の開閉時に外気が直接待合室に入ることを防ぎ、適切な室温を維持できます。

参考事例:おぎくぼ小児科

H3 9. 定期的な換気を行う

医療機関における換気は、感染予防の観点から特に重要です。換気計画では、排気(換気扇)だけでなく、給気(外気の取り入れ)も含めた給排気のバランスを考慮しましょう。

なかでも全熱交換器(ロスナイ)の導入は、換気の質を向上させるのに効果的です。全熱交換器を通すことで、外気の温度を調整しながら、フィルターできれいな空気を院内に取り入れることができます。特に真夏・真冬は外気を室内温度に近づけてから取り入れることで、空調効率も向上し、患者様も快適に過ごせます。

10. モニターを設置し、映像コンテンツを提供する

近年のクリニックでは、従来の地上波テレビ放送ではなく、モニターを活用した独自のコンテンツ提供が主流となっています。院長自身がYouTubeを運営している場合はチャンネルの動画、診療内容の説明動画、クリニックからのお知らせなど、患者様にとって有益な情報を提供することが効果的です。

モニターは、映像コンテンツの提供だけでなく、診察の順番呼び出しやプライバシーに配慮した番号表示など、多目的に活用できます。

11. 雑誌や書籍を用意する

様々なジャンルの雑誌や書籍を用意することで、患者様は自分の興味に合わせて選ぶことができます。定期的に新しい雑誌に入れ替え、汚れたり破損したものは早めに処分しましょう。健康情報誌や地域情報誌など、医療や地域に関連する内容も取り入れるとよいでしょう。

また小児科では絵本を取りやすいように表紙を飾れるような本棚もあると効果的です。

12. Wi-Fi環境を整備する

以前は電子カルテのセキュリティの観点から、クリニックでは患者様にWi-Fiを提供しないことが一般的でした。しかし現在では、患者様用と院内用で別々の設定を行い、セキュリティを確保しながら、患者様が待ち時間を退屈しないようWi-Fi環境を提供するクリニックが増えています。

Wi-Fi環境を整備する場合は、セキュリティ面に配慮したネットワーク構築を行いながら、接続方法を明示したカードを受付に置くなど、利用しやすい工夫も重要です。

13. キッズスペースを設ける

小さな子供連れの患者様が安心して診察を受けられるよう、キッズスペースの設置は効果的です。子供用の椅子やテーブル、年齢に合った絵本やおもちゃを用意しましょう。清潔を保ちやすく、安全な素材の遊具を選び、他の患者様の迷惑にならないよう配置を工夫することも重要です。

また、感染症対策の観点から、前述の通り感染隔離室の設置も検討しましょう。

14. 飲料サービスを提供する

長時間待つことになる患者様のために、ウォーターサーバーやコーヒーメーカー、自動販売機などの設置も検討しましょう。特に服薬前後や、喉の渇きを感じやすい高齢者には重宝されます。紙コップの定期的な補充と、サーバー周辺の清潔維持を心がけましょう。

15. 衛生管理を徹底する

医療機関として、衛生管理は最重要事項です。初期の段階から抗菌仕様の素材や設備を選ぶことで、日常の清掃負担を軽減しながら衛生的な環境を維持できます。

スタッフが清掃しやすい設計も重要で、例えばトイレでは壁掛け式の便器を採用することで床掃除が容易になります。洗面カウンターも水が溜まりにくい設計にすることで、清掃の手間を減らすことができます。

まとめ

クリニックの待合室は、単なる「待つ場所」ではなく、患者様がクリニック全体の印象を形成する重要な空間です。レイアウトや家具選び、照明や空調管理、設備の充実など、様々な角度から工夫を施し、患者様に「また来たい」と思っていただける環境を作りましょう。

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