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コラム

整形外科を開業する流れは?開業資金や内装設計のポイントについても解説

目次

整形外科の開業には一般的なクリニック以上に高額な設備投資や特殊な内装工事が必要となり、資金・設計面での準備は不可欠です。

本記事では、開業資金の目安から具体的な準備手順、そして見落としがちな内装設計のポイントまで、整形外科開業に必要な情報をご紹介します。これから開業を予定している方は、ぜひ参考にしてみてください。

整形外科の開業に必要な資金

クリニックの開業資金は一般的には5,000万円〜1億円程度が目安とされていますが、整形外科の場合、初期費用が1億円を超えることもあります。

整形外科の開業費用が高額になる理由は、主に2つあります。1つは、X線装置など高額な医療機器が必要になること。そして2つ目は、設備に対応した特殊な内装工事が必要になることです。

例えばレントゲン室には放射線が漏れないよう壁・床・天井のすべてに鉛の板を貼る遮蔽工事が発生します。リハビリ室内には、ウォーターベッド型のマッサージ機器など重量のあるリハビリ機器を設置するため、床補強工事が必須となります。整形外科ではこのような特殊工事や高額機器への投資が不可欠であるため、全体の開業費用が大きくなります。

関連記事:クリニック開業資金はいくら必要?内訳や診療科別の資金傾向を紹介

整形外科クリニック開業までの手順

整形外科クリニックの開業準備は、以下のステップに沿って進めていきます。

  1. 診療方針・コンセプトの確立
    クリニックの運営方針、強み、ターゲットなどを明確にします。

  2. 事業計画の作成
    市場調査、収支予測、開業資金の算出(設備投資・運転資金含む)を行い、融資を受ける際の根拠となる計画を策定します。

  3. 資金調達(融資・自己資金)
    銀行や金融機関に相談し、開業資金(機器・内装・運転資金等)の融資内定を取り付けます。

  4. 開業地・物件の選定と契約
    診療方針と事業計画に基づき、立地条件(集客力・アクセス・需要など)を精査し、医院物件の購入または賃貸契約を結びます。

  5. 内装工事会社の選定・施工
    設計事務所や施工会社を選定し、院内の基本設計・実施設計を進めます。設計図面が固まった段階で保健所・厚生局へ事前相談し、法令や施設基準を満たしているか確認を受けます。

  6. 関係各所への事前相談
    保健所や消防署、役所などに設計計画や開業予定、連携体制について事前に相談し、指導・助言を受けて申請や工事が円滑に進むよう調整します。医師会への相談では開業予定地の医療連携の確認や、入会条件・地域医療ネットワークへの参加体制なども調整します。

  7. 医療機器の選定・発注
    診療科目や診療方針に合わせて必要な医療機器・設備を選定し、納期や設置計画を検討の上、発注業務を行います。

  8. スタッフ採用・研修
    看護師、理学療法士、医療事務などのスタッフを採用し、開業に向けて研修を実施します。オペレーションの打ち合わせなどを考慮し、1ヶ月は確保することが推奨されます。

  9. 行政手続き(保健所、厚生局、消防署など)
    設計図や必要書類を揃え、診療所開設許可申請(保健所)、保険医療機関指定申請(厚生局)などを行います。診療所開設届は、毎月10日までに厚生局に届け出ることで、次の月から診療を開始できます。X線装置や特殊設備設置に関する届出、消防署や税務署への申請も必要です。

  10. 開業準備
    医療機器の搬入・設置・動作確認や、電子カルテ・レセコンの設定・研修、医薬品・消耗品の発注・納品、広告宣伝活動(Webサイト公開、内覧会告知など)を開業日に合わせて進行します。

  11. 許認可証の受領と診療開始
    すべての行政手続きが完了し、必要証明書・許認可証を受領したら、いよいよ診療開始となります。

これらの開業準備は、各工程ごとに専門的な知識が必要となるため、すべてを自力で進めるのは負担が大きいです。信頼できる行政書士や医療コンサルタント、設計会社、金融機関担当者など、分野ごとの専門家に早めに相談し、サポートを受けるようにしましょう。

整形外科開業を成功させるポイント

ここからは、整形外科クリニックの開業で失敗しがちな部分や、成功するクリニックに共通する戦略・工夫について解説します。

診療方針とコンセプトを明確にする

整形外科の開業準備で大切なのは、自院の診療方針を明確にすることです。スポーツ整形を強みにする、地域の高齢者のリハビリに注力する、新しい運動療法や介護連携を打ち出すなど、どのような診療分野に注力するかを明確にします。

この段階で、将来的な事業方針やクリニックの差別化ポイントを整理すると、以降の物件選びやスタッフ採用、設備導入の方向性も自然と明確になります。

開業地選びを慎重に行う

クリニック経営において、立地は開業成功の8割を決定づけると言われています。診療圏調査の分析結果をもとに、慎重に開業地を選びましょう。

整形外科には高齢者や体の不自由な方が多く来院するため、できれば1階の物件で、車椅子でも利用しやすい作りが理想的です。また、クリニックの前に駐車場があるような場所だとなお良いと思います。物件の広さは、レントゲン室と45平米以上のリハビリ室(運動器リハビリテーション料の施設基準)を確保できることが最低条件となります。

関連記事:クリニック開業の立地選びのポイント|エリア別・物件別のメリット・デメリットも解説

レントゲン室は早期に計画する

レントゲン室の設計は、早期段階で計画することをおすすめします。レントゲン室には放射線遮蔽のため壁面全体に鉛板を貼る特殊工事が必要で、一度施工すると配線や配管の追加が困難になるためです。特に天井走行型のX線装置は天井への荷重が大きいため構造補強が必須となります。木造建物のクリニックで、工事開始後に天井走行型が構造的に設置不可能と判明し、床置き型への変更を余儀なくされたケースもあります。このような設計変更は追加費用だけでなく、開業時期の遅れにもつながります。

また、X線装置はメーカー・機種によって設置方法やサイズが全く異なるため、内装設計前にメーカーと機種を決定しておきましょう。設計後にレントゲン室の大きさが変わると、他の各居室にも影響が出てしまったり、大幅なコスト増につながるリスクがあるため、はじめにレントゲン室のサイズを決められると設計もスムーズに行うことができます。

大型医療機器の導入には床補強も必要

リハビリ機器の重量は想像以上に大きく、特にアクアタイザーと呼ばれるウォーターベッド型のマッサージ機器は水を含めると450kgもの重量になるため、通常の床では支えきれません。床補強工事は開業後の実施が困難であることから、計画段階で機器の配置場所と重量を正確に把握し、必要な補強を設計に組み込んでおく必要があります。

動線設計を怠らない

整形外科の診療効率を高めるポイントは、診察に来られる患者様とリハビリのみの患者様との動線を一番に検討することです。受付を中心として、左右にリハビリ室と診察室を設けることで、リハビリだけで来院する患者様が診察エリアを通らずに済み、動線が交わることを防ぐことができます。

さらに、クリニックの動線設計では患者様の動線とスタッフ動線を分けて考えます。診察室、処置室、レントゲン室、リハビリ室をスタッフ専用の通路でつなぎ、スタッフが効率よく院内を移動できるようにしましょう。

デザインよりも機能性を優先して設計する

整形外科には高齢者や身体の不自由な患者様が多く来院するため、見た目の美しさよりも安全性と利便性を優先した設計を推奨します。

バリアフリーは福祉のまちづくり条例(またはそれに類する名称の条例)で定められた必須要件ですので、設計は地域の条例で定められた設計基準を満たす必要があります。

各居室への出入り口有効寸法や通路の幅、車椅子用トイレの寸法など、満たさなければならない項目をチェックしながら設計に反映してまいります。

まとめ

整形外科クリニックを開業する際は、資金計画や物件選定だけでなく、専門の医療機器の導入や特殊な内装工事、混雑や安全対策を考えた動線設計など、様々な準備をする必要があります。

特に内装設計においては、放射線遮蔽や床補強などの特殊工事といった整形外科ならではの課題をしっかり押さえることで、患者様が安心して利用できるクリニックを作ることができます。

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